中国の歴史とセサミン
歴史が深い中国では、古くからごまは体に良い食材として愛されてきました。
ごまにはセサミンをはじめとした栄養成分が豊富に含まれており、生薬・漢方薬にも利用されています。
その優れた効果や効能は、古い文献などにも記されるほどです。
中国のごま
ごまの伝来は西から
ごまが中国に渡った経緯は諸説ありますが、一説には中国の西域から伝わってきたと言われています。
そのことから西方を意味する「胡」と、種子が似ている「麻」をあわせて胡麻という名前が付けられたそうです。
中国最古の黒ごま
中国の歴史上で最初にごまが確認できるのは、周の時代(日本では縄文時代)紀元前3,000年頃です。
浙江省太湖沿岸にこの頃の遺跡があり、遺跡の発掘で大量の黒ごまの種子が出土しています。
仙薬・生薬・漢方薬として
セサミンの持つ強い抗酸化作用には、活性酸素を抑制して老化の進行を抑える働きがありますが、古代中国では、不老不死の仙人になるという仙薬として用いられていました。
セサミンの名は知らなくても、その効果は理解されていたようです。
セサミンは、他にも肝機能の向上や、コレステロール値の改善などの効果がある優れた成分です。
セサミンを含むごまは、現在では生薬・漢方薬(※)にも利用されています。
ごまは大きく分けると白ごま、黒ごま、金ごまの3種類に分けられますが、薬用に使われるのは主に黒ごまで、滋養強壮・解毒を目的として利用されています。
(※)生薬と漢方薬の違い
薬効のある天然の素材(精製されていない産物)を生薬と呼びます。
漢方薬は、漢方医学の理論に基づいて複数の生薬を組み合わせたものです。
古書からセサミンの効果を読み解く
ごまの効果や効能は、古い文献にもつづられています。
神農本草経
神農本草経(しんのうほんぞうきょう、しんのうほんぞうけい)は、中国医学における三大古典の1つに数えられる中国最古の薬物学(本草学)書です。
生薬の薬効について解説した本ですが、ここではごまを、不老長寿の秘薬、五臓六腑を潤す食品として紹介しています。
本が書かれたのは一般的には1~2世紀頃、後漢から三国(魏・呉・蜀)時代と伝えられていますが、古くからセサミンの老化を防ぐ効果が知られていたようです。
抱朴子
抱朴子(ほうぼくし)は、4世紀はじめに書かれた道教の教説書にあたる古書です。
この本の中で、ごまを調理したものをとり続けると、慢性疾患を取り除いたり、走っている馬にも追いつけたりするなど劇的な効果があると書かれています。
真相のほどは定かではありませんが、ごまが体に良い食材だということを認識していた記述です。
近代中国のごま事情
中国は、世界的に高いごまの生産量を誇るごまの輸出国として知られていましたが、中国国内のごまの需要が高まったため、2014年から輸出国の名を返上し輸入国に変わりました。
2016 年の輸入量は約 90 万トンで世界のごま生産量の 1/5 を占めています。